「やめたいのに、やめられない」——私は20年間、毎日そう思っていました。元CAのまゆみです。
結論から言います。20年やめられなかった私が、38歳でやめられました。特別なことはしていません。順番があっただけです。「ゼロにしなくていい」と自分に許しを出し、たった一回、「吐かなくても体重が減った」という成功体験を手にしたところから、回数が減り始めました。
この記事は、医学的な解説ではありません。実際に何をしたか、何時がいちばんつらかったか、「やめたら太る」という怖さをどう乗り越えたか——クリニックのサイトには載っていない、痛々しいけれど本当の、私の記録です。
【PR】本記事には、私が実際に使ったもののアフィリエイト広告を含みます。
本記事は医療情報ではなく、私自身の体験にもとづく記録です。回復の早さや経過には大きな個人差があります。吐血・めまい・動悸・強い倦怠感がある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
そして、読み進める前にひとつだけ。私が回復に20年かかった一番の理由は、誰にも話せなかったことでした。もし今、誰かに聞いてほしい気持ちがあるなら、公認心理師(国家資格)のカウンセラーだけが登録しているオンラインカウンセリング【Kimochi】があります。名前を明かさなくていいし、顔を出さなくてもいい。話すだけでも、呼吸は少し楽になります。
- やめられないのは、意志が弱いからじゃない
- 「やめる」の定義を変える|ゼロにしなくていい
- やめると決めた日|38歳の、その場面
- 最初の1週間、私が実際にやったこと
- たった一回の成功体験が、20年をひっくり返した
- 衝動が来た瞬間にやったこと|気をそらして、外に目を向ける
- いちばん怖い「やめたら太る」について
- また吐いてしまった日の考え方
- 夜がいちばん危ない|時間帯でわけて考える
- 続けられた理由|お金の見える化と、没頭できるもの
- 「吐けば出る」は勘違いだった
- ホットヨガが効いた理由と、1年の変化
- 食べても満たされなかったのは、孤独だったから
- 没頭できることの見つけ方|CA受験のときに気づいたこと
- 私の20年|年表
- それでもやめられないとき|頼っていい場所
- 過食嘔吐のやめ方についてよくある質問
- まとめ|やめ方には、順番があった
やめられないのは、意志が弱いからじゃない
「やめたい」と思った日は、何百回あったかわかりません。でも20年間やめられませんでした。その経験から言えます——過食嘔吐は、意志が弱いからやめられないのではありません。
過食嘔吐は、脳が「辛い感情 → 食べ吐き → 一時的な安堵」という回路を作り上げてしまっている状態です。この回路は、繰り返すたびに強化されていきます。やめるためには、意志で押さえ込むのではなく、この回路を「別の回路」に書き換える体験が必要でした。
私の場合、その引き金はいつも人間関係でした。親との関係、仕事のストレス。CAのときは上司に気を使い、お客様からのクレームにいつもビクビクしていました。人の顔色ばかり見ていると、こころが疲れます。その疲れが、夜になると食べ吐きに変わっていました。
「やめる」の定義を変える|ゼロにしなくていい
検索してここに来た方に、いちばん最初に渡したいのがこの許可です。完璧にやめなくていい。私の回復は、「やめよう」と決めた日ではなく、「やめなくてもいい、回数を減らそう」と考えた日から始まりました。
いちばんひどかった頃の一日
正直に書きます。ひどいときは、一日中、過食嘔吐を繰り返していました。朝起きて過食して吐き、疲れて眠り、夜起きて買い出しに行って、また過食して吐く。一日2回どころか、3回、4回。喉を傷めて血がにじんでも止められませんでした。涙も鼻水も止まらず、あまりの衝撃で失禁してしまうこともありました。
これを「明日から完全にやめる」なんて、できるはずがなかったのです。
「1日1回はしていい」と決めたら、夜までは普通に暮らせた
転機は、自分にこう言い聞かせたことでした。「1日1回は、過食嘔吐していい」。
すると不思議なことに、夜までは普通に生活できるようになりました。朝も昼も「どうせ夜にできる」と思えるから、衝動に振り回されない。一日中だった過食嘔吐が、まず「夜だけ」になりました。
次にやったのは、その「1回」を明日に延ばすことでした。「今日は我慢するんじゃなくて、明日の夜にしていい」。そう自分に許しを出すと、その日は普通に生きられました。自分の納得のいく食事をして、眠る。過食したい衝動は、消すのではなく「明日まで延ばす」。期限を作ることで、その日をやり過ごせるようになりました。
1日が2日になり、3日になり、週1になり——「減ってきた」と実感できたのは、この「明日にしていい」が続いたときです。
ただし、ここで正直に書いておきたいことがあります。この間にストレスがかかると、一気に巻き戻されます。親とのこと、仕事のこと。そんなときは週1が毎日に戻って、また1からやり直しでした。それでも、「やめ方」は覚えていたので、やり直せました。
※これは私のやり方であって、医療的に推奨される方法ではありません。減らし方は人それぞれで、主治医やカウンセラーがいる方は、その方針を優先してください。
やめると決めた日|38歳の、その場面
38歳のある日、私は自分を、100年後から振り返って見てみました。
いま1キロ増えることと、自分の人生と、どっちが大事なのか。天秤にかけてみたのです。死ぬまでこの絶望と向き合い続ける恐怖と、少し太ったくらいで悩んでいる時間の、なんという無駄。100年後の私から見たら、答えは決まっていました。
もうひとつ、忘れられない光景があります。同僚に、いわゆる「カショ顔」の人がいました。耳の下が張って、顔がぼんやりと大きくなった顔つき。その人が、不気味なほど元気に仕事をしている姿を見て、怖くなったのです。「私も、周りからはあんなふうに見えているのかもしれない」と。
そして時代も、少しずつ変わっていました。世の中がこころの病気を受け入れ始めていた。「これは病気で、恥ずかしいことじゃない」と思える空気が、私の背中を押してくれました。
その日、何かドラマチックなことが起きたわけではありません。ただ、天秤の傾きが、はっきり見えただけでした。
最初の1週間、私が実際にやったこと
いちばんつらかったのは、いらいらが来て泣くしかなかった時間
最初の1週間は、正直、地獄でした。いらいらしてきて、どうしていいかわからなくて、泣きました。怖かった。食べたい欲求と、吐かないと太るという不安に同時に襲われて、「こんなにつらいなら、いなくなったほうがマシなんじゃないか」と思うくらい不安でした。
もし今、あなたがその場所にいるなら——その気持ちは、ひとりで抱えるには重すぎます。私は当時、誰にも言えませんでした。だから20年かかったのだと思っています。いきなり病院はハードルが高い、という方は、スマホひとつで名前を明かさずに話せるオンラインカウンセリング【Kimochi】から始めてみてください。「言えた」という一回が、私には必要でした。
家の中でやったこと|深呼吸と、タオル1枚のヨガ
家の中で私がやったのは、2つだけです。
まず、深呼吸。深く吸って、吐いてを繰り返しながら、「大丈夫、落ち着いて。大丈夫、落ち着いて」と口に出していました。呪文みたいに。効いているのかどうかは、そのときはわかりません。でも、息をしているあいだは、手が食べ物に伸びなかった。
それから、大きなタオルを床に敷いて、その上で自分なりにヨガをしました。ホテルのステイ先でも、自宅でも。形はできていなかったと思います。LAVAで習ったポーズを思い出しながら、ただ体をほぐしました。「うまくやる」が目的ではなく、「衝動が過ぎるまで体を動かしている」が目的でした。
はじめて外に出た日|1キロ圏内をぐるぐる回った
衝動が来たとき、コンビニではなく、ただ外に出てみました。家を出て、公園を過ぎて、駅を越えて——そして同じところをぐるぐる回りました。
遠くには行けませんでした。家から離れすぎるのも不安だったからです。だから1キロ圏内を、何周も。目的地はありません。「歩いているあいだは食べていない」、それだけでした。
戻ってきたその夜、吐きませんでした。20年ぶりの、吐かずに眠れた夜でした。
「外に出る」を靴を履くところから分解した5ステップは、過食嘔吐をやめる第一歩は「外に出る」だけ|回復のループを断ち切る5ステップに書いています。
たった一回の成功体験が、20年をひっくり返した
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
吐かずに眠れた翌朝、体重計に乗りました。減っていたのです。吐かなかったのに。
私はそれまで、「吐かないと太る」「普通に食べたら永遠に増え続ける」と本気で信じていました。その思い込みが、たった一回の朝で崩れました。「吐かなくても、増えない」——この一回の成功体験があったから、翌日も、その次も、「またできる」と思えたのです。
痛々しい20年でしたが、それを乗り越えられたのは、大きな決意でも、強い意志でもなく、この一回でした。だからもし今、あなたが「一日だけ吐かずに寝る」ことができたら、翌朝、体重計に乗ってみてください。その数字が、思い込みを崩してくれるかもしれません。
そして、その一回を作るためにやったことが、次の「気をそらす」でした。
衝動が来た瞬間にやったこと|気をそらして、外に目を向ける
衝動は、消そうとすると勝てません。私が勝てたのは、「気をそらす」「自分の外に目を向ける」と決めてからでした。散らばっていた方法を、実際に効いた順番でまとめます。
①いちばん効いたのは、ヨガの呼吸
鼻から4秒かけてゆっくり吸う。7秒止める。口から8秒かけてゆっくり吐く。これを3〜5回。
副交感神経が優位になって興奮が落ち着くこと、「今ここ」に意識が戻って引き金になった思考から距離が取れること——理屈はあとから知りました。最初は「こんなことで変わるの?」と半信半疑でした。でも続けるうちに、衝動が来たら「まず深呼吸」という反射が身につきました。
この呼吸を教えてくれたのが、ホットヨガのLAVAでした。スタジオにいる60分は、物理的に食べ吐きができません。温かい部屋で汗をかいて、呼吸だけに集中する。「家にいる時間=過食嘔吐の時間」が「スタジオの時間」に置き換わっていきました。最初は週1回から。3ヶ月で回数が半分になり、1年で心がいちばん安定したのが、この時期です。
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初回体験は無料です。「痩せるため」ではなく、「体と仲直りするため」に、まず一回だけ。私のLAVAでの1年はこの記事の「ホットヨガが効いた理由と、1年の変化」に書いています。
②外に出る|「外に出よう」ではなく「靴を履く」だけ
「外に出よう」と思うと重い。だから目標を「靴を履く」だけにしました。靴を履いてドアを開けると、家の空気から切り離されます。私の過食嘔吐は、決まって家の中でひとりのときに起きていたからです。1キロ圏内をぐるぐる回るだけで、その夜は違いました。
③料理|「食べる」を敵から味方に戻す
意外に思われるかもしれませんが、料理も気をそらす手段になりました。長いあいだ、私にとって食事は「太る恐怖」でしかなく、「普通の量」がわからなくなっていました。自己流では怖くて続かなかった私が、食べることそのものを学び直せたのがRIZAP COOKでした。手を動かして、量を決めて、ちゃんと食べる。「食べても大丈夫だった」という経験が、吐かない日を増やしてくれました。
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食べ方から顔つきを整えていった記録は過食嘔吐の顔のむくみは食事で戻る?咀嚼・栄養から顔つきを整える方法にまとめています。
④食以外に興味を持つ|私には投資が向いていた
深呼吸でも靴でもダメな夜は、夢中になれるものに逃げました。最初はネットフリックスの映画やYouTube。そして「今日はしない、明日の夜ならしていい」と期限を作る。衝動を消そうとするのではなく、延ばす。これがいちばん現実的でした。
そして、私にいちばん向いていたのが、お金でした。くわしくは後の「続けられた理由」に書きますが、食べること以外に興味を持てたことが、食への執着を薄くしてくれました。没頭の見つけ方はこの記事の後半にまとめました。
効かなかった日のこと
効いた話だけ並べると、嘘っぽくなります。最初のころは、呼吸をしても、歩いても、結局吐いていました。全部やって、それでも吐いた夜は何度もあります。
それでも「明日は大丈夫」と思えたのは、あの一回の成功体験があったからです。効かなかった日は、あの朝を思い出して、また明日やり直すことにしていました。
いちばん怖い「やめたら太る」について
やめる決心を止めていたのは、ほぼこの恐怖でした。吐かないと太る。普通に食べたら、永遠に増え続ける。私は本気でそう信じていました。そして「普通の量」がわからなくなっていました。
私の体重は、実際にはこう動きました
ピークは68kg(身長163cm)。そこから絶望期には、働けないほどの47kgまで落ちました。若いころは急激に痩せたり太ったりを繰り返していて、35歳を過ぎたあたりから体重の減少は減り、増えるほうが増えていきました。「吐いても痩せない」時期に入っていたのです。
38歳でやめると決めて減らし始め、ホットヨガに通い始めました。半年〜1年ほどかけて52kgで安定。まだ月に数回は吐いてしまう日が残っていましたが、このころが心はいちばん安定していました。今は58kgです。正直に言えば、気にならないと言えば嘘になります。でも、幸せな体重です。
増えていく途中、鏡や服を見て何度も揺れました。ここで私が「やめるのをやめそうになった」ときに使ったのが、次の考え方です。
白か黒か、ではなく「吐いていい日」を決めた
太るのが怖くて、やめるのをやめそうになった瞬間は、ありました。何度も。
乗り切れたのは、白か黒か、ゼロか100かではない考え方でした。体重が多少増えたとしても、「仕事がある日は吐かない」「ステイ先では吐かない」「夜までは吐かない」と決める。つまり、吐いていい日を決めたのです。ダイエットでいう「何を食べてもいい日」を作るのと同じ感覚で、過食嘔吐をしていい「ご褒美デー」を決めたら、その日まで我慢できるようになりました。
そして、その日が来ると意外と「今日はいいか」となる。そうやって、吐いていい日が少しずつ遠のいていきました。
やめた後の体重増加と、そこで私が試したことは摂食障害克服後の体重増加に悩む方へ|エクエルを2週間試した元CA実録に書いています。
また吐いてしまった日の考え方
再発は、必ず起きます。ここが弱いと、1回の失敗で全部投げ出してしまう。私がそうでした。
最初のころ|自分を責めて、人から離れた
また吐いてしまった日、私は自分を責め続けました。家族を傷つけ、友達から離れ、家族からも離れようとしました。「もう無理だ」と。ただ、もう、疲れていました。責めることに疲れていたのです。
変わっていった声のかけ方
再発したときの自分への声のかけ方は、少しずつ変わっていきました。変わった理由は、一度の成功体験です。「一日、吐かずに眠れたことがある。だからまたできる」。そう感じられるようになってから、翌日は「今日は辛かったんだ」で済ませて、また「明日の夜ならしていい」に戻れるようになりました。
もうひとつ大きかったのは、「食べても体重が増えないことがある」と知ったことです。それまでは、吐かないと増えると思っていて、食べること自体が怖かった。普通に食べても増えなかった日を経験して、怖さが少しずつ減っていきました。
また吐いてしまった日にやるのは、深呼吸と水分補給、そして「責めるよりも前を見る」。それだけです。
この時期に読んで支えになった本があります。回復した人の体験と専門家の知識の両方が書かれていて、私の経緯と重なるところがたくさんありました。摂食障害から回復するための8つの秘訣【Amazon】(キャロリン・コスティン著)。ほかの本は摂食障害・過食嘔吐におすすめの本5選にまとめています。
夜がいちばん危ない|時間帯でわけて考える
私がいちばん危なかったのは、夜6時でした。夕飯の支度をするとき。隣の家から夕飯の匂いがしてくるとき。テレビで食べ物の映像が流れたとき。この時間帯に、衝動がいちばん強くなりました。
だから夜のために決めていたのは、「夢中になれるものを、先に用意しておく」ことでした。ネットフリックスの映画や、YouTube。6時になる前に、見るものを決めておく。夕飯の匂いの時間を、画面の中に逃げてやり過ごす。
もうひとつ、夜の手を「食べ物以外」に向けるためにやっていたのが、耳の下をやさしくなでるケアでした。過食嘔吐で張っていた耳下腺のあたりを、鏡の前で責めるのではなく、触ってあげる時間に変える。手に持っていたのはReFa CARAT(Amazon)/(楽天)です。道具が腺を小さくしてくれるわけではありません。でも、夜の10分を「自分をいたわる時間」にできたことは、私には大きかった。正直な感想はカショオ顔の記事のリファの章に書いています。
夜の衝動が強くなる仕組みと、夜の工夫については夜だけ過食嘔吐が止まらない理由|衝動が強くなる仕組みと今日からできる夜の工夫にまとめています。
続けられた理由|お金の見える化と、没頭できるもの
没頭できるものは、探して見つけた
「没頭できるものを見つけましょう」と言われても、「私にはそんなものがない」と思う方が多いと思います。私もそうでした。
きっかけは、母でした。リウマチで痛みを抱えている母が「痛いことを忘れられるのは、ネットフリックスのドラマを見ているときだけ」と言ったのです。それを聞いて、「自分も没頭できるものが欲しい」と思って探しました。たまたまではなく、探したのです。
見つかったのが、お金でした。たぶん、過食嘔吐でたくさんのお金をトイレに流してきたから、その分を取り返すことに夢中になれたのだと思います。CA受験に没頭していた時期も、同じでした。何かに向かっているあいだは、食べ吐きの時間がなくなっていました。
会社員として貯めてきたお金が、自分を救ってくれた
私にとっての「お金の見える化」は、家計簿ではありませんでした。インデックス投資を始めて、資産が数字として見えるようになったときです。
今まで働いて貯金してきたお金を投資に回して、それが少しずつ増えていた。それを見たとき、「自分にはやればできる」という自信がつきました。過食嘔吐でたくさんのお金をトイレに流してきた私でも、会社員として働いてきた実績で貯めたお金は、ちゃんと残っていた。そのお金が自分を救ってくれたと、思えたのです。
毎月コツコツ積み立てるだけのインデックス投資は、相場に張り付く必要がなく、値動きに一喜一憂しないぶん、気持ちが乱れにくいのが私には合っていました。始めるときは、証券口座をひとつ用意するところからでした。私が使っているのは松井証券(PR)です。
20年でいくら使ったのか、実際に計算した記事は過食嘔吐に20年で7,300万円使った元CA|投資に回していたらいくら?です。
※投資には元本割れの可能性があります。特定の商品や手法をおすすめするものではなく、判断はご自身の状況に合わせて、必要に応じて専門家にご相談ください。
「吐けば出る」は勘違いだった
私が長年信じていた思い込みがあります。「吐いたんだから、入っていない」という感覚です。
気づいたきっかけは、体重でした。吐いても増えた日が増えていく。逆に、吐かなくても痩せた日があった。「あれ、吐いても出ていないんじゃないか」——数字が、思い込みを崩してくれました。
あとから振り返ると、飲み物はほぼすぐに吸収されるし、食べ物も吐くまでのあいだに消化が進んでいます。私はパスタが細くなって出てきたのを見て、それを実感しました。医学的な断定はできませんが、体感としては、吐いていても体はしっかり吸収していたのだと思います。だから過食嘔吐をやめたら、体重は特別なことをしなくても、ちょうどいいところに落ち着いていきました。
「出てこない」「吐けなくなった」と感じている方は、過食嘔吐で「出てこない」「吐けなくなった」理由と回復への転機もあわせて読んでみてください。
ホットヨガが効いた理由と、1年の変化
「ホットヨガで本当に過食嘔吐が治るの?」とよく聞かれます。正確に言うと、ホットヨガが直接治したのではなく、ホットヨガが回復の土台を作ってくれた、というのが正直なところです。効いた理由は3つありました。
①自律神経が整う
過食嘔吐の衝動は、交感神経(興奮状態)が優位なときに起きやすいと言われています。ホットヨガの呼吸法と動きは副交感神経を働かせ、「落ち着き」を取り戻す手助けをしてくれました。週2〜3回通うことで、衝動が来たときにも「深呼吸して待てる」ようになりました。
②体との関係が変わる
過食嘔吐をしているとき、私は体を「敵」として扱っていました。ホットヨガで汗をかき、ポーズを深めていく中で、「体が一生懸命頑張ってくれている」という感覚が生まれました。体に感謝できるようになると、体を傷つける行為への抵抗感が自然と増していきました。
③物理的に「吐けない時間」ができる
スタジオにいる60分間は、過食も嘔吐もできません。週に数回、「過食嘔吐から離れた時間」を強制的に作ることが、ループを断ち切るきっかけになりました。
ホットヨガを始めてからの1年間
| 期間 | 起きたこと |
|---|---|
| 最初の1ヶ月 | とにかくつらかった。毎回ぐったりして帰宅。でも「60分だけは食べることを忘れられる」時間が貴重だった |
| 2〜3ヶ月 | 朝のむくみが改善。肌のツヤが少し戻る。回数が週5〜6回から週2〜3回に |
| 4〜6ヶ月 | 「体を動かすことが楽しい」という感覚が生まれる。ヨガの後に食べるものが変わる |
| 6ヶ月〜1年 | 月に数回程度まで減少。1年後にはほぼゼロに。52kgで心がいちばん安定 |
始める前に知っておいてほしい注意点
- 水分補給を必ず行う:過食嘔吐で電解質が乱れている状態でのホットヨガは脱水のリスクがあります。前後に十分な水分と電解質を
- 無理をしない:倒れそうになったら即座に休む。完璧にやろうとしない
- 体調の悪い日は休む:無理して通うと、それ自体がストレスになる
- 治療中の方は主治医に相談する:重い栄養不足や体力の低下がある場合は、始める前に必ず相談してください
私が通ったのはLAVAです。全国にあり、初心者向けクラスが多く、月額制で続けやすかった。ヨガ経験はゼロでしたが、まったく問題ありませんでした。「話さなくていい」「参加するだけでいい」場所なので、人が苦手だった私にも合っていました。
食べても満たされなかったのは、孤独だったから
過食嘔吐をしているとき、私は「食べれば楽になる」と思っていました。でも実際には、食べても食べても満たされない。むしろ食べた後は、さらに孤独で空虚な気持ちになりました。あとから振り返ると、理由は3つあったと思います。
①食べることが「感情の麻痺」になっていた
過食のとき、私は感情を感じないために食べていました。孤独・不安・悲しみ・怒り。それらを食べることで一時的に押し込める。でも食べ終わると、麻痺していた感情が戻ってきて、そこに嘔吐への罪悪感が加わって、さらにつらくなりました。
②過食が「人とのつながり」を壊していた
過食嘔吐を続けると、外食を避けるようになります。人と食事を共にすることが怖くなる。秘密を抱えていることで、本当の自分を見せられなくなる。CAとして働いていた頃、表面上はいつも笑顔で「人気者」に見えていたと思います。でも、本当の自分を見せられる人はいませんでした。
③「本当に欲しいもの」と「食べ物」を混同していた
孤独なときに本当に欲しかったのは、人とのつながり・安心感でした。それを食べ物で代替しようとしても、満たされるはずがなかったのです。
シャバアーサナで、ふと涙が出た日
ホットヨガの最後に行う「シャバアーサナ(大の字で寝て休む姿勢)」のとき、ふと涙が出てきたことがありました。「ああ、私は今まで本当に孤独だったんだ」と気づいた瞬間です。話しかけなくても、見知らぬ人でも、同じ空気の中で呼吸をしている。その「共にいる感覚」が、私の孤独を少しずつ和らげてくれました。
孤独と過食嘔吐の悪循環を断つために、私がやったのは3つです。感情を食べ物以外の方法で処理する(日記に書く、誰かにメッセージを送る、深呼吸する、外に出て歩く)。「一人の時間=自分を充電する時間」と捉え直す。そして、秘密を話せる「安全な場所」を一つ作る。心療内科でも、支援グループでも、信頼できる友人でも、どれでもいいです。
没頭できることの見つけ方|CA受験のときに気づいたこと
「没頭できるものを見つけましょう」と言われても、「私にはそんなものがない」と思う方が多いと思います。私もそうでした。でも振り返ると、最初にそれを体験したのは、20歳のCA受験のときでした。
CA受験に没頭していた数ヶ月、回数が激減した
エントリーシート、自己分析、マナー練習、英語の勉強。毎日やることが山積みで、気づいたら深夜になっていました。その間、いつもは1日5〜6回吐いていたのが、1日1回以下になっていたのです。完全にゼロにはなりませんでしたが、劇的な変化でした。
意志の力で我慢したのではありません。過食嘔吐には、買い出しの時間・食べる時間・吐く時間・自己嫌悪の時間と、たくさんのリソースが必要です。没頭していると、それに使える時間と脳の余裕が、物理的になくなっていました。そして「合格したい」という前向きな緊張感が、「食べなきゃ」という衝動より強い刺激として働いていました。最終的に合格できたことは、「私はやればできる」という感覚を取り戻す転機にもなりました。
「楽しい」より「ちょっと気になる」で十分
最初から「没頭できること」を探そうとすると、ハードルが上がりすぎます。「ちょっと気になる」「やってみようかな」くらいで十分です。私が試したのは、ヨガ(最初は「体を動かしてみようかな」程度)、ガーデニング、ブログ、お金の勉強。この中でヨガと投資が、私には残りました。
没頭の対象は、変わっていい
私の場合、20歳はCA受験、20代はCAの仕事、30代半ばからヨガと体の回復、いまは投資とブログです。一つのことに一生没頭し続ける必要はありません。生活のステージごとに「食以外の楽しみ」があればいい。
ただし、心と体に安全なものを選んでください。ハイリスクな投資や、体を追い込む運動はおすすめしません。ホットヨガのように「その時間は物理的に食べ吐きができない」ものや、ハンドクラフトのように手を動かすものが、私には向いていました。
回復が進むと、楽しめることが増えていく
過食嘔吐が減るにつれて、以前は楽しめなかったことが楽しめるようになりました。映画を最後まで集中して観られる。読書中に「食べなきゃ」という衝動が来ない。友達との会話に集中できる。旅行先で食事を「楽しむ」ことができる。過食嘔吐は脳のエネルギーを大きく奪います。回復すると、多くのことを楽しむ力が戻ってきて、それがまた回復の動機になっていきました。
私の20年|年表
「自分は今どのあたりなのか」を知りたい方のために、私の20年を表にします。年は曖昧なところもあります。
| 年齢 | 起きたこと | 回数・体重の目安 |
|---|---|---|
| 18歳 | 上京して一人暮らしを始める。過食嘔吐が始まる。「痩せたい」から | — |
| 20代 | CAとして働きながら過食嘔吐が続く。22〜29歳ごろがいちばんひどかった時期 | 1日5〜6回 |
| 26歳 | 結婚。一人暮らしが終わる | — |
| 30代〜 | CAとして働きながら続く。急激に痩せたり太ったりを繰り返す | 最大68kg |
| 35歳ごろ | 体重が「減りにくく、増えやすく」なる。吐いても痩せない時期に入る | — |
| 絶望期 | 働けないほど落ちる | 47kg |
| 38歳 | 「100年後から見た自分」で天秤にかける。やめると決める。「1日1回はしていい」から減らし始め、吐かずに眠れた翌朝に体重が減っていた——たった一回の成功体験。LAVA入会、インデックス投資を始める | 毎日→週1へ |
| その1年後 | ホットヨガ1年で心がいちばん安定。吐くのは月に数回まで減り、ほぼゼロへ。顔が戻り始める | 52kg |
| いま | 吐かない生活。気にならないと言えば嘘になるけれど、幸せな体重 | 58kg |
回復までにどれくらいかかるのかについては、過食嘔吐は何年で治る?20年続けた元CAが語る罹患期間×2倍説に書いています。
それでもやめられないとき|頼っていい場所
正直に書きます。私は長いあいだ、病院に行けませんでした。「精神病だと思われたくない」「頭がおかしいと思われたくない」——そんな偏見が怖かったからです。30代に入ってカショ顔がひどくなり、生きていることさえつらくなって、ようやく限界を認められました。まずオンラインカウンセリングで話を聞いてもらい、そこから心療内科に行くことができました。でも、そのときには過食嘔吐はもうずいぶん進んでいました。
いま振り返って思うのは、偏見を怖がって誰にも話せなかった年月が、回復を遅らせた一番の理由だということです。摂食障害はこころの病気です。意志や性格の問題ではありません。話せる場所をひとつ持つだけで、回復の速さは本当に変わります。
次のような場合は、この記事を閉じて、できるだけ早く心療内科・精神科などの専門機関に相談してください。
- 吐いたものに血が混じる
- めまい・動悸・強い倦怠感がある(電解質の乱れのおそれがあります)
- 一日に何度も繰り返していて、生活が回らなくなっている
- 「消えてしまいたい」という気持ちが続いている(この場合は、厚生労働省「まもろうよ こころ」から今日つながれる窓口を探してください)
相談できる窓口と、治療について
過食嘔吐(医学的には神経性過食症)は、週1回以上の過食と代償行為が3ヶ月以上続くことが目安とされ、日本では女性の約2〜3%が経験すると言われています。決して珍しい病気ではなく、多くの人が一人で抱えています。
- 心療内科・精神科:摂食障害の診断・治療を行う基本の窓口
- 摂食障害専門クリニック・摂食障害支援拠点病院:より専門的なサポートが受けられる
- 精神保健福祉センター:各都道府県にあり、本人・家族の相談ができる
- 摂食障害情報ポータルサイト:国立精神・神経医療研究センターが運営する公的な情報サイト
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
主な治療法には認知行動療法・対人関係療法・薬物療法があります。薬は必須ではなく、認知行動療法だけで改善するケースも多いと聞きます。どれも専門家の指導のもとで行うもので、必要性は医師が判断します。「一人で治そう」とすることが、回復を遅らせる最大の要因の一つだったと、いまの私は思っています。
そして、「病院に行くほどではないと思う」「でも誰かに聞いてほしい」という段階の方へ。私がいちばん長く、いちばん苦しかったのが、まさにその段階でした。公認心理師(国家資格)のカウンセラーだけが登録しているオンラインカウンセリング【Kimochi】なら、自分の部屋から、自分のペースで、名前を明かさずに話せます。私は、誰かに話せたときにやっと、自分を責めるのをやめられました。
💬 一人で抱え込まないで。まず話してみませんか? → オンラインカウンセリングを見てみる
過食嘔吐のやめ方についてよくある質問
Q. 過食嘔吐は自力で治せますか?
軽い場合は自力での改善もあり得ますが、私のように長く続いている場合は、専門家のサポートがあるほうが早いと思います。自力で試す場合も、相談窓口に連絡だけでもしておくことをおすすめします。私は偏見が怖くて病院に行けず、30代に入るまで誰にも相談できなかったことで、20年かかりました。
Q. 薬を飲まなければいけませんか?
薬物療法は必須ではありません。認知行動療法だけで改善するケースも多いと聞きます。薬の必要性は医師が判断するもので、自己判断で決めることではありません。
Q. 過食嘔吐をしている最中でもホットヨガに通えますか?
私は完全にやめてからではなく、「減ってきた段階」から通い始めました。ただし電解質が乱れていると脱水になりやすいので、水分補給には特に注意してください。体調が著しく悪い日は無理をしないこと。治療中の方は主治医に相談してから始めてください。
Q. ヨガ経験ゼロ・人が苦手でも大丈夫ですか?
まったく問題ありません。私もヨガ初心者からで、最初は一言も話さずに通っていました。ホットヨガは「話さなくていい」「参加するだけでいい」場所です。
Q. 没頭できることが見つかりません
「楽しいこと」を探すのをやめてください。「ちょっと気になること」で十分です。ヨガの体験レッスン、図書館で気になるジャンルの本を借りてみる、そんな小さな行動から。私も、母の一言をきっかけに「探して」見つけました。
Q. 趣味より食べることのほうが楽しいです
食べることが「最も快感を感じられる行為」になっているのは、過食嘔吐が脳の報酬系に影響しているためだと言われています。意志の弱さではなく、脳の状態です。回復が進むにつれて、食べること以外の楽しみを感じる力が少しずつ戻ってきます。私がそうでした。
Q. 孤独を感じなくなれば、やめられますか?
孤独の解消が回復に大きく影響したのは確かです。ただ、過食嘔吐には複数の要因があるので、孤独だけが原因とは限りません。専門家のサポートと並行して取り組むのがいいと思います。
Q. 過食嘔吐の秘密を誰かに話すべきですか?
話せる相手がいれば、話すことで孤独感は大きく和らぎます。私は長年誰にも言えなかったのですが、初めて信頼できる人に打ち明けたとき、「一人じゃない」という感覚を初めて味わいました。身近に話せる人がいなければ、支援団体や専門家、オンラインカウンセリングも選択肢です。
まとめ|やめ方には、順番があった
20年やめられなかった私がやったのは、この順番でした。
- 「ゼロにしなくていい」と許しを出す。1日1回→明日の夜→週1へ
- 100年後から見た自分で、天秤にかける
- 衝動が来たら、気をそらす。ヨガの呼吸・外に出る・料理・食以外の興味。効かない日は、明日やり直す
- 一日だけ吐かずに寝て、翌朝の体重計を見る。たった一回の成功体験が、思い込みを崩す
- 「吐いていい日」を決めて、太る怖さを白黒でなくやり過ごす
- また吐いた日は責めずに、「今日は辛かったんだ」で終わらせる
- 夜6時のために、夢中になれるものを先に用意する
- お金を見える化して、没頭できるものを探す。私には投資が向いていた
- ひとりで抱えない。話せる場所をひとつ持つ
全部はいりません。私も、ひとつずつでした。今日、どれかひとつだけ選んでみてください。
そして、顔のことで悩んでいる方へ。過食嘔吐をやめると、顔も戻ります。耳下腺の腫れやむくみがどう戻っていくかは、カショオ顔の特徴と唾液腺の腫れ|過食嘔吐で顔つきが変わる理由といつ戻るかに、月ごとの記録として書きました。
20年間の全記録は過食嘔吐・摂食障害から完全回復した体験談にまとめています。
あなたは一人じゃない。回復は、38歳からでもできました。まずは今日、一回だけ減らすところから。


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