摂食障害
本のタイトルは『涙を食べて生きた日々』。
著者は道木美晴さん。
高校1年生で摂食障害(拒食)と診断されてから、過食へ、そしてそこからの回復まで――
12年間の壮絶な体験を、心の叫びと共に綴ったエッセイです。
痩せることが正義
本書の冒頭、著者はこう書いています。
「やせ続けることは、私の正義であり誇りだった」
この言葉に、私は胸が苦しくなりました。
摂食障害の人が「病気」だと自覚することの難しさ、
「太ったら価値がない」「美しさ=細さ」と思い込んでいた、
あの頃の自分を重ねずにはいられませんでした。
拒食から過食
著者は拒食状態から入院を経験し、
その後、反動で起こる強い過食衝動に苦しむようになります。
「空腹」も「満腹」もわからない。
食べることが怖いのに、止められない。
体重はわずか7ヶ月で倍増。
それは、誰にも理解されない苦しみだったと語っています。
この部分では、“やせている時”に称賛され、太ることで一気に否定される社会の視線が、
いかに人を追い詰めるかを痛感させられました。
「食べること」へのこだわり
本書は、ただの闘病記ではありません。
「どうして私は摂食障害になったのか?」という問いと正面から向き合い、
そこにある心の空白や、満たされなかった想いに光を当てています。
そして著者は、自分の心と体のバランスを少しずつ取り戻し、
「自分らしく生きる」ことを見つけていく姿が丁寧に描かれています。
50代なのに
私は今でも「普通に食べる」ことに怖さを感じる日があります。
でも、この本を読んで、
「私は一人じゃない」
「自分を責めなくていいんだ」
そう思えました。
この本には、美晴さんのイラストもあり
過食や拒食の“内なる声”が、静かに、深く心に響きます。
こんな症状の人へ
- 摂食障害で悩んでいる
- 過食・拒食を繰り返してしまう
- 家族や大切な人が摂食障害かもしれない
- 心の中で「完璧じゃなきゃ価値がない」と自分を責めている
この本は、あなたの心に寄り添ってくれる一冊になると思います。
『涙を食べて生きた日々 摂食障害――体重28.4kgからの生還』
著:道木 美晴
イラスト:今日 マチ子
出版社:主婦の友社(2023年2月27日 発売)
評価:★4.8(Amazonレビューより)
さいごに
「体重=価値」じゃない。
「痩せてる=幸せ」じゃない。
本当の“回復”は、自分の心と体を少しずつ信じる?諦めることが必要なのかもしれません。
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